【補助金事業レポート】継承語としてのポルトガル語を教える人材を養成プロジェクト・セメンチーニャ(種) PROJETO SEMENTINHA

HICEでは、毎年、非営利の市民活動に対して補助金を出しています。 平成30年度は35件の活動に補助を行っています。
その中の一つで、近年注目されている継承語に焦点を当てた取り組み「プロジェクト・セメンチーニャ」を紹介します。

 「セメンチーニャ」は「小さな種」という意味で、子どもたちのことを指しています。
この事業の趣旨は、ブラジルルーツの子どもたちに継承語としてのポルトガル語を伝えることのできる指導者を養成することです。
 まず、10月に5回かけて指導者になるブラジル人6人が集まり、コーディネーターとともに、継承語の重要性について学んだ後、子どもへの教え方を学び、さらに教材を手作りしました。 子どもたちに馴染みのあるお話をポルトガル語で聞くことで拒否感を持たずに楽しく学べるように、
また、エプロンシアターやパネルシアターの手法を活用して子どもたちの関心を引き付ける工夫をしながら、五感を働かせて学ぶ授業を考案します。 そして、11月から3月にかけて土曜日の午前中に10回、実際に4歳から6歳までの小学校に上がる前までの子どもたち6人に声をかけ、ポル
トガル語の教室を実践しています。
 教室を訪問した1月26日は、「大きなかぶ」のお話を、まずはパネルシアター形式で行い、その後、お話を聞くだけではなく五感を使った活動を取り入れるために、かぶをひっぱるおじいさんやおばあさん、猫などの動物たちの塗り絵をしておめんとして切り抜き、役になりきって劇を行いました。
 「言葉は表面的なものではなく、見たり聞いたり触ったりする五感や考え方や感情なども合わさって豊かな言葉になるので、子どもたちには様々な体験を通じて楽しくポルトガル語を身につけてほしい。」というのがメンバーの思いです。 また、子どもたちだけではなく、親や支援ボランティアの日本人の方たちも含め、いろいろな人に関わってもらうことが大切だということで、親子で活動したり、ポルトガル語を学んでいる日本人ボランティアの方に協力してもらったりしているそうです。
 継承語としてのポルトガル語はなぜ大切なのでしょうか。 まず第一に、親子のコミュニケーションのためです。 支援員の皆さんは、自分の子どもとのコミュニケーションに悩んだ経験や学校で生徒と親のコミュニケーションがうまくいかず、心がすれ違ってしまったときに通訳に入った経験などがあり、今回のプロジェクトの原動力となっているようでした。 また、継承語の能力を伸ばすことは、現地語である日本語の力を伸ばすことにもつながります。
 子どもを参加させている親の一人は、「自分は6歳で来日して日本の小中学校で学んだこともあり、日本語の方が得意でポルトガル語は苦手だったので、日本語が苦手な親とコミュニケーションが取れなくなって悩んだこともある。 ポルトガル語は大人になってから取り戻した。 同じように、今、自分の子どもは保育園ではすべて日本語なので、ポルトガル語を忘れてしまいそう。 でも、子どもの父親はポルトガル語の方が得意で家の中はポルトガル語を使っている。 せっかく両方の言葉を学べる環境にあるのだから、日本語もポルトガル語も自信をもって使えるようになってほしい」とこの活動に参加した理由を語ってくれました。
 プロジェクトのメンバーたちは、今後、この事業のことをより広く発信して継承語を教えることができる人を増やすとともに、多くの子どもたちに参加してほしいという展望を持ち、取り組んでいます。
 1990年に日系ブラジル人が多く来日するようになってから30年が経ちます。 日本で生まれ育った世代が親になり、さらにその子どもたちが日本で育っており、継承語としてのポルトガル語の必要性が注目されるようになってきています。 ブラジルにルーツを持つ子どもたちが日本社会に定住しながらもブラジルの文化や言葉を受け継ぎ、日本社会に多様性をもたらす豊かな人材として育つように、HICEとしても補助金をとおして応援していきたいと考えています。

【事業概要】

「プロジェクト・セメンチーニャ」
主催:わたぼうしグランドデザイン浜松インターナショナルスクール実施グループ:セメンチーニャ(メンバー7人、ボランティア4人)
教室開催日程:11月~3月の10回土曜日10時~11時30分
場所:浜松学院大学
参加者:4歳~6歳のブラジルルーツの子ども6人
HICE補助金額:122,000円

平成30年度 多文化共生・国際交流推進事業補助金」 実施状況の報告

HICEでは、市内に活動の本拠地がある非営利団体が実施する「多文化共生・国際交流事業」に補助金を交付しています。 補助額は対象経費の1/2で、事業内容により上限は30万円または50万円になっています。
平成30年度の多文化共生・国際交流推進事業費補助金には32団体延べ40件の申請をいただき、35件6,407,000円を交付決定しています。
事業は日本語教室、小学校での放課後学習支援事業や母語支援活動、国際交流事業など多岐にわたります。
  
来年度の募集期間は6月1日(土)~6月30日(日)を予定しています。詳しくはHICENEWS5月号でお知らせします。

「大きなかぶ」をポルトガル語でやりました
「大きなかぶ」をポルトガル語でやりました

(2019/02/26)

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