浜松市には多様なバックグラウンドや在留資格を持つ外国人が暮らしており、生活面でも「来日直後」「子育て期」「就労期」「高齢期」など、人生の段階(ライフステージ)によってニーズは大きく異なります。
多文化共生センターにおける多言語相談窓口や出張相談会等の相談実績をもとに、浜松市に多く暮らすブラジル人、ベトナム人、フィリピン人コミュニティのニーズを事前に把握したうえで、それぞれのライフステージに応じて必要な制度についての情報などを提供することを目的として、「外国人コミュニティ・ライフステージ講座」を実施しています。
今年度も浜松市委託事業として、生活に直結するテーマを取り上げ、母語または通訳を介して情報提供を行いました。
ベトナム人コミュニティ対象 ~旧正月(テト交流会)との連携~
ベトナム人を対象とした講座では、在留資格や交通ルール、年金、防災等に関する情報をテーマに、2月15日に南部協働センターにおいて実施し、111名が参加しました。
今年度は、ベトナム人団体「3939バンド」の協力を得て、ベトナムの旧正月(テト交流会)と組み合わせた形式で開催し、楽しみながら学べる講座となりました。
在留資格については、行政書士沖田事務所代表の沖田祐子氏が講師を務め、在留資格更新の審査において確認される主なポイントについて解説しました。 具体的には、世帯全体として生活の安定性(収
入・資産・技能等)が見込まれること、所得税・住民税の納付状況、健康保険・年金の加入および納付状況が審査に影響する点などが示されました。
交通ルールについては、2026年4月からの罰則強化や、16歳以上の自転車利用者による違反行為への対応等について、静岡県警察本部交通部交通企画課交通安全教育係の江戸輝巡査部長が説明を行いました。実際の青色切符を拡大して示しながら解説が行われたことで、参加者の関心が高まった様子が見られました。
当日はこのほか、年金や防災に関する説明も行われ、多岐にわたる生活情報を一度に学べる充実した講座となりました。 コミュニティ主体の交流と生活情報の提供を組み合わせることで、参加者同士のつながりの形成にもなりました。




ブラジル人コミュニティ対象 ~高齢期の課題に注目~
ブラジル人コミュニティを対象には、今後さらに重要性が高まる高齢期の課題に着目し、介護保険制度をテーマとした講座を実施しました。 会場はブラジル人が多く暮らす地区で集まりやすい場所でもあるトレーボスーパーマーケット&レストラン(中央区高丘)を会場とし、8月6日に開催しました。
講座では、実際に制度を利用した当事者による体験談の紹介に加え、地域包括支援センター職員から制度の仕組みや利用手続き、支援の流れについて具体的な説明が行われました。
この講座では、ブラジル人当事者による実体験を交えた講話が参加者の共感と関心を高め、理解促進に影響をもたらしました。
また、制度利用を支える通訳者の役割の重要性が改めて認識されたことも大きな成果でした。 さらに、地域包括支援センターとの連携強化に向けた具体的な一歩ともなりました。

フィリピン人コミュニティ対象 ~メンタルヘルスをテーマに~
浜松市で暮らすフィリピン人からの相談は近年増加しており、うつ症状や不眠、不安など深刻なメンタルヘルスの問題が背景にあるケースも見られます。
そこで今年度は、フィリピン人心理カウンセラーによるメンタルケア講座を5月24日に多文化共生センターで開催しました。
この講座は、参加者の心の健康に関する意識を高め、心身の安定と生活の質の向上につなげることを目的として実施し、日常生活で役立つストレス管理の方法やリラクゼーション技術を学ぶ機会を提供しました。
講師を務めたフィリピン人心理カウンセラーのエイプリル・モリト氏(日本在住30年以上)は、フィリピン人を取り巻く心理的状況の変化を過去と現在を比較しながら説明しました。 特に、日本での滞在期間が長くなるほど精神的な不安定さが生じやすく、子育てにも影響が及ぶ可能性がある点が指摘されました。
当日は参加者同士が安心して語り合える雰囲気が生まれ、セミナー後も個別相談が自然に続くなど、高い関心とニーズが確認されました。




