• 浜松市多文化共生センター
  • 浜松市外国人学習支援センター
  • 浜松国際交流協会
LANGUAGE

「ひらがなめがね」をつかって、このウェブサイトにふりがなをつけることができます。

ふりがなをつける

※外部サービスに移動するため一部の機能が使えなくなります

浜松市多文化共生センター 浜松市外国人学習支援センター 浜松国際交流協会
HOME > 組織概要 > 視察・インターンについて > 浜松市の多文化共生施策について > インターカルチュラル・シティ(ICC)について > インターカルチュラル・シティ:活躍する外国人市民インタビュー Vol.22【ラウラ・ロドリゲスさん】

インターカルチュラル・シティ:活躍する外国人市民インタビュー Vol.22【ラウラ・ロドリゲスさん】

日本人学校で文化の素晴らしさを学んだ学生時代。
いつしか日本へ行きたいと思うように

メキシコシティ南部のコヨアカン地区出身のラウラさん。両親ともに医者の家庭で育ちました。幼少期から家族で映画やコンサートによく足を運び、年に2回ほどメキシコの有名なリゾート地「アカプルコ」へ旅行するなど家族との時間を大切にしていたそうです。小学校から高校まではメキシコシティにある日本人学校に在籍。この学校にはメキシコ国立自治大学の教育課程を基準としたカリキュラムのメキシココースと、日本の文科省の教育課程を基準とした日本コースがあり、同じ敷地内でメキシコと日本の子どもたちが学べる国際校で、世界でも珍しいスタイルの学校です。ラウラさんはこの日本人学校で小学校から高校まで日本語や日本の文化を学び、いつしか日本に強い憧れを持ったそうです。
インタビュー前半はメキシコの魅力と日本人学校についてお届けします。(聞き手 三井忍)

(聞き手 三井忍) / 写真提供:本人  ※インタビュー時期:2025年9月

メキシコシティはどんな街なのか教えてください

世界最大級の都市で、活気のある場所です。街のいたるところで毎日ジャズやロックの演奏会が行われ、映画祭やコンサート、美術展など多彩なイベントが常に行われている活気ある都市です。街中は古代遺跡、メトロポリタン大聖堂などの歴史的建築物と近代的な建物が共存し、古いものと新しいものが融合している街です。

メキシコのイベント風景
古代遺跡や近代的建物(メトロポリタン大聖堂)

メキシコの良いところを教えてください

メキシコは生物多様性に富んだ国です。森、ジャングル、砂漠、山、川、湖、海など多様な自然がたくさんあります。日本の約5倍と国土が広いため、それぞれの地域で文化が発展しています。世界遺産に登録されているマヤ文明やアステカ文明の遺跡、世界を代表する美しいビーチ、そして何より人々がみんな明るく、温かい人たちばかりで親しみやすいところが素晴らしいと思います。

ラウラさんの好きなメキシコの景色

メキシコを代表する料理を教えてください

トウモロコシの粉や小麦粉で作る薄く丸い形のパン「トルティーヤ」に肉や野菜、魚など好みの具材を乗せて食べる「タコス」が有名です。味の決め手はタコスに添える「サルサソース」。トマトや玉ねぎ、唐辛子などを細かく刻んで混ぜ合わせて塩などの調味料で味を整えます。日本でいうと万能に使える「しょうゆ」のような存在です。我が家ではトルティーヤにとろけるチーズを乗せて温めて食べる簡単なレシピでタコスを食べています。手軽に食べることができ、子どもたちも大好きなメキシコ料理です。

一般的なタコス
子どもたちが大好きなタコス

ラウラさんは高校まで日本人学校に通っていたそうですね

物心がついた時から日本という国に何となく興味を持っていました。メキシコシティにある日本人学校「日本メキシコ学院」に入学し、小学校~高校まで日本語や日本文化について学びました。「日本人学校」と聞くと日本人しか通えないと思われがちですが、この学校は現地のメキシコ人も通うことのできる学校で、メキシコと日本の子どもが同じ敷地で学んでいます。日本の伝統文化の一つ「鯉のぼり」や「日本食」など体験し、日本へ対する憧れが強く、いつか日本に行ってみたいという思いが強くなりました。

リセオ・メヒカノ・ハポネス時代の写真
リセオ・メヒカノ・ハポネス時代の写真

高校卒業後はメキシコの大学でグラフィックデザインを専攻したそうですね

もともとアートの分野に興味があったため、1993年にメトロポリターナ自治大学(UAM)に入学しグラフィックデザインを専攻しました。その後、大学院に進み、国立工科大学DR (IPN)にてMBAを取得。卒業後はグラフィックデザイナーとして企業イメージ、編集デザイン、ウェブサイト製作に携わっていました。アメリカのロサンゼルスにあるクリエイティブスタジオとも一緒に仕事をするなど幅を広げていきました。メキシコの職人たちと一緒に自分のジュエリーブランドを立ち上げ、メキシコと日本の職人と一緒に作品を発表しました。

大学時代の写真
大学卒業後、グラフィックデザイナーとして活躍していたころの写真や作品
大学卒業後、グラフィックデザイナーとして活躍していたころの写真や作品
大学卒業後、グラフィックデザイナーとして活躍していたころの写真や作品

2度目の来日で運命の出会いが。
日本との「縁」を強く感じ活躍の場を日本へ

日本人学校卒業後、メキシコの大学でグラフィックアートを学んだラウラさんはアートの分野で活躍します。2007年、医者のご両親が日本で開催される学会に参加した時にラウラさんも同行し、憧れの日本の地に初めてやってきました。東京で過ごした1週間は毎日いろいろな場所に足を運び、1日24時間では足りないと感じるほどアクティブに過ごしたそう。帰国後、仕事の関連でアジアの情報を調べていた時に「日本とメキシコの相互理解と友好親善を増進することを目的とした研修プログラム」があることを知り応募したラウラさん。見事研修生に選ばれ、2008年に2回目の来日のチャンスをつかみました。2008年3月~11月まで京都で研修し日本の伝統工芸を学んだラウラさんに運命の出会いがありました。

後半は仕事や日本滞在時、そして日本に住むようになったきっかけなどについて伺いました。

2007年に初来日した時の気持ちを教えてください

33歳で初めて日本に来るチャンスがありました。医者の両親が学会に参加するため日本に行くという話があり、私も一緒に同行しました。幼少時代から憧れていた日本の地に降り立った時は言葉にいい表すことができないぐらい感動しました。日本とメキシコは13時間時差がありますが、眠い時間帯をぐっとこらえていろんなところに行きました。早朝3時から開いている築地市場にも足を運び、日本を満喫しました。

2度目の来日は翌年の2008年だそうですね

アジアの調べものをしていた時に「日墨戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」という事業があることを知りました。これはチャンスだと思い応募したところ見事に研修員として選ばれ、京都工芸繊維大学「日本のデザインと伝統技術」コースで学ぶことができました。研修終了後に大学の教授と一緒に東京で行われていた楽器メーカー「ヤマハ株式会社」とオートバイをはじめとする二輪車を主軸としている「ヤマハ発動機株式会社」が主催している展示会に行きました。その会場で後に主人となるフランス人デザイナーのイヴさんに出会いました。この出会いが転機となり、2009年に3回目の来日、そして2011年に結婚し現在は浜松で暮らしています。

京都工芸繊維大学時代の写真
イヴさんが手掛けたデザイン「YAMAHA key between people」現在はヤマハ・イノベーションロード・ミュージアムの入り口に展示されています

現在の仕事について教えてください

自分の原点であるグラフィックデザインをはじめ、「ビジュアルアーティスト」という肩書きで活動しています。写真、映像、絵画、イラストなど視覚的な要素を通じてアイディアを表現する人です。

昨年、駐日メキシコ大使館とのコラボレーション、浜松市とヤマハの協賛を得て制作したオンライン展覧会の作品を製作しました。

その他の活動としては「子ども」や「子ども+親」を対象とした英語アートクラスも開催しています。4つ講座がありますが、「キッツリード&ドロウ」は英語で絵本の読み聞かせ&英会話&さまざまな描画技法を学ぶクラス。「マインド ドローイング」は感覚を探求し内面的な描写を楽しむクラスなど、絵を上手に描くことよりも、子どもたちが自由な発想で絵を楽しみアートに親しんでもらいたいという願いがあります。

アートクラスの様子

また、市内の美術館や博物館などでワークショップを開いたり、NPO活動の皆さんと一緒にアートを楽しんだりと色んな場所でアートを広げていく活動をしています。

ワークショップ

2011年から住んでいる浜松の印象ともっとこうしたらいいと思うところはありますか

住環境としては気候が穏やかで親切な人が多いと感じています。私の故郷のメキシコシティほど刺激的ではありませんが、創作活動をするうえで、浜松の静かな環境は最適です。

2011年に来日した際は日本語を忘れてしまっていた部分がありますが、日本国際協力センターという機関の日本語教室に5年間通いました。浜松国際交流協会をはじめとする外国人に対するサポート体制がしっかりとしているため暮らしやすい街だと思います。

浜松での暮らしの写真

これからに期待することは、浜松は音楽の街として全国的にも有名で、ヤマハをはじめカワイ、ローランドなど世界的な楽器メーカーの本社があります。ユネスコ創造都市ネットワークの「音楽分野」に加盟している「浜松市」はアジア初の加盟都市です。世界中の人から注目され、国際的知名度が上がる可能性を秘めています。もっと浜松の魅力を伝える発信力を強めていくことが大切だと感じています。

今後について聞かせてください。

浜松をより活気のある多文化都市にするために貢献していきたいと思います。それぞれの国をテーマにしたフェスティバルなど街中で開催されることがありますが、ターゲットを絞った1つの国のフェスティバルではなく浜松に在住している色んな国のブースが一同に出展し、外国人も日本人も一緒になって楽しめるようなイベントの仕掛けができたらいいなと思っています。

そして来年は浜松で暮らしはじめて15年になります。日本での多文化的な生活をテーマにしたイラスト付きの本を出版したいと思っています。

今後の活躍も楽しみにしています。本日はありがとうございました。

ラウラ・ロドリゲス(Laura Rodríguez)

1974年4月1日生まれ
小学校~高校 日本メキシコ学院
メトロポリターナ自治大学(UAM) グラフィックデザイン専攻
国立工科大学DR (IPN)にてMBA取得
京都工芸繊維大学 現代デザイン・伝統工芸プログラム終了
現在はビジュアルアーティストとして活躍