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インターカルチュラル・シティ:活躍する外国人市民インタビュー【呉 徳尚さん】

国籍もキャリアも色眼鏡ナシ 感謝・感謝の初仕事

 「仕事が決まったときは自分でも驚きました。というより、本当かなぁと思いました(笑)」
と当時を振り返る株式会社マラナタ代表取締役の呉徳尚さん。
初仕事は浜松市のシンボルともいえる浜松城公園での壁面緑化でした。駐車場から園内に入る歩道の壁を、美しい緑で彩るのが今回の仕事。
ピンク、白、黄など色鮮やかな花を織り交ぜながら緑豊かな壁を仕立てました。
 「正直に言うと、この仕事は僕の営業能力で獲得したというより“もらった”という方が正解だと思います」。
その理由に当時、呉さんの会社にはアピールできるような実績がなかったことを挙げています。
「浜松城公園を管理している遠鉄アシストの担当の方はとても丁寧に話を聞いてくださって、僕が外国人であることも起業間もないことも躊躇なく真摯に対応してくださったんです。そのことが何よりうれしかったですね」。
そして後日、呉さんに「契約を進めたい」との電話が入ったのです。
「このチャンスに感謝の気持ちを込めて、質の良いものを提供することを心掛けました。そして日本の会社で教わった5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を守り、仕事が終わった後は徹底して掃除をしました」。この誠実な仕事ぶりが実を結び、来園者には癒やしと笑顔がもたらされ、起業して2年経った今でも呉さんと遠鉄グループは良好な関係が続いています。

浜松城公園の壁面緑化

日本人のおもてなしに感激 植物で癒やしを届けたい

 中国・山東省出身の呉さんは大学3年生のときに交換留学生として日本・福井県に。
最初のカルチャーショックは空港での出来事でした。「当時の僕は日本語をまったく話せませんでした。バス乗り場が分からず、『バス、バス』と話しかけた相手はタクシー運転手さん。でも彼は僕をバス乗り場に連れて行き、目的地に着くバスに乗せてくれたんです。中国では考えられません!バスはタクシーの商売敵ですよ。中国なら自分のタクシーに乗せて『運賃、はい10万円』と請求してもおかしくないですからね」。
日本人のホスピタリティ・マインドの高さに胸を打たれた瞬間でした。
 在学中は機械工学を専攻。日本語の授業やロボット研究をする友達との会話の中で、日本語も上達していきました。その後、就職活動を経てスズキ株式会社への入社を機に浜松市に。サラリーマン生活をスタートさせ、マレーシア人の妻と穏やかな生活を送っていました。
 30歳までに起業したいと考えていた呉さん。会社の上司に相談するも「コロナ禍に仕事を辞めることはないよ」と心配されました。本国でプラスチック工場を経営していた両親にも「環境問題から今後、プラスチックを取り扱うのはとても厳しい。計画を変更しなさい」と反対されました。
ただ、呉さんは「コロナ時代だから、みんな癒やしを求めている。今がチャンスだ!」と考えていました。両親は農業も行っていたため、植物がとても身近にある環境で育った呉さん。
生き物に携わる厳しさや苦労はもちろんのこと、草木が成長するエネルギーや花の美しさ、加えて育った時の達成感も同時に知っていたのです。

マイサカ家具の壁面緑化

創業支援に手厚い浜松市 市長の言葉に心強さを実感

 熟考の末、最愛の伴侶の快諾を得て脱サラを決意。2年前、壁面緑化を事業の柱に創業しました。
「今でも苦労しているのは『敬語』です。もう、本当に難しくてとても大変です。商談中も間違ったまま話しているのかもしれませんが、気づいていないから直しようもないんです(笑)。
それでも仕事を続けられているのはお客様に助けられていることだと思って感謝しています」。
 また、創業時に実感したのは浜松市の環境の良さ。「この町はベンチャーやスタートアップに対する支援がとても手厚いですね。浜松市が主催するスタートアップのイベントに参加した時の話ですが、参加者の中には高校生もいて、決して本業とは言えない人たちもたくさんいたイベントなのに鈴木康友市長が会場にやってきてメッセージをくれたんです。信じられませんでしたし、とても心強く感じました」。

浜松市長を訪問

事業サポートは日本の仲間 浜松を拠点に全国展開を目指す

 新型コロナウィルス感染症の影響により、資材を輸入する船便が遅れたり、輸送費もコロナ前に比べて20倍もの高値になったり。「国籍が違うことを理由に『何もしゃべらず帰れ』と言われたこともあります。でも遠鉄さんやスズキさんの上司がそうであったように、そんな人たちばかりじゃないことも知っています」。さまざまな困難にぶつかりながらも日本人の仲間に支えられながら営業活動を続けています。
 現在は事業の二本目の柱として「垂直栽培」を展開中。移動できるイチゴの壁はイベントに引っ張りだこ。静岡市や愛知県の植物工場でも引き合いが出ています。
「浜松は生活をするのにもとても良い町なので、これからも家族やお客様を大切にしながらこの地で仕事を続けていきたいと思っています」。

(取材時期:2022年1月)

呉 徳尚(ウー デイシャン)

中華人民共和国出身。2011年に交換留学生として来日。スズキ株式会社への就職を機に浜松市へ移住。2020年に同社を退職後、壁面緑化や次世代農業を手がける株式会社マラナタを起業。

このページについてのお問合せ先

浜松市企画調整部国際課
住所:〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2  電話:053-457-2359
メール:kokusai@city.hamamatsu.shizuoka.jp