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インターカルチュラル・シティ:活躍する外国人市民インタビュー【ドァン ハン さん】

故郷の価値ある農業を世界へ 憧れの日本でサポート

 一見、“チョコレート屋のお姉さん”に見えるドァン・ハンさんが手掛ける仕事は、実は出身地であるベトナム・バリア=ブンタウ省の発展につながっているのです。

普段は浜松市内の自身が所属する会社・株式会社OCA JAPAN(オカ・ジャパン)の直営店「OCA HAMAMATSU」でオーガニックチョコレートを中心に、カカオプリンやカカオティーなどを販売しています。ここで取り扱っている商品は、バリア=ブンタウ省で生産された良質なカカオが原料。ベトナム産のカカオは生産量が多くないため知名度は高くありませんが、その反面、パリで行われたチョコレートの祭典で賞を受けたことなどを機に注目を集め、近年ではその味の良さから世界の菓子業界から評価する動きも出始めています。

「私自身、今の仕事をするまで地元のバリア=ブンタウ省でカカオを栽培しているなんて知りませんでした。バリア=ブンタウ省はホーチミン市から車で2時間ぐらいの場所にあるベトナム国内でも人気の観光地です。石油が取れるためビジネス都市の面も持ち、山も海も近くにあって浜松市とも似た雰囲気です。そういった意味でも高校生までバリア=ブンタウ省で育った私にとって浜松はとても暮らしやすい町です」。そう話すハンさんは高校生の頃から日本に憧れを持っていました。

音楽が大好きなハンさん。大学へ進学する際には「ピアノの先生になりたい」という夢もありましたが、ビジネス面での専門性を身に付けた方が良いという家族のアドバイスを受けて大学では「会計」を専攻することに。これが後に日本で働く自分に役立つとはこの時、夢にも思っていませんでした。

OCA JAPANのチョコレート製品を販売

叔母やアニメから日本語を習得 実生活ではゴミ捨てに戸惑いも

ハンさんが日本に興味を持つきっかけとなったのは母親の妹である叔母さんの存在です。叔母さんは日本の企業で働き、日本語を話すこともできます。ハンさんから見る日本の企業はクリーンな良いイメージ。いつか日本の企業で働きたいと思っていたハンさんはホーチミンの大学に通っている間、叔母さんに日本語を教えてもらったり、ベトナムでも人気の日本アニメ「ドラえもん」や「名探偵コナン」を見たりして日本語を覚えていきました。

大学を卒業すると、ハンさんは日本に留学生としてやってきました。初めての日本に「町がきれいだなと思いました」と第一印象を振り返ります。日本語学校では1日4時間の授業を受け、そののちには近所の商業施設にある食品売り場で調理やレジのアルバイトをしたことも。来日して日が浅いころは、まだ習いたての日本語に戸惑うことも当然のようにありました。生活するうえで欠かせないゴミ捨てもベトナムとは大きな違いも。燃えるゴミや燃えないゴミ、資源物などの細かな分別ルールはもちろん、ゴミ出しスケジュールなど初めてのシステムに驚きもあり、生活に慣れるまでには少し時間がかかりました。

OCA JAPANオフィスにて

スタートアップで抜擢 カカオ農家に6次産業化を

現在の会社の社長はベトナムの叔母さんとつながりがありました。同社がベトナムのカカオ事業をスタートさせるにあたって求人があり、ハンさんはそのチャンスを逃さなかったのです。社長は彼女を採用するにあたって「ハンさんはとても優秀な大学を卒業しています。そのため、事業を立ち上げるタイミングに適任だったのです」と話します。

OCA JAPANの仕事は単なるカカオやチョコレートの輸入・販売ではありません。バリア=ブンタウ省で良質なカカオを生産しても大規模資本により安く買いたたかれてしまうことで疲弊しがちなカカオ農家に、適正な6次産業のシステムを取り入れることで新たな産業をもたらすことが真の目的です。世界を相手に対等な取引をするためには日本のオーガニック食品の認証である「有機JAS」はもちろん、「EU有機ロゴマーク」「USDA(米農務省)認証オーガニック」など、厳しい規定に裏付けされた商品の生産指導なども行っています。

チョコレートのプレゼンの様子

世界を相手にビジネスモデルを構築 数年後にはOCAの責任者へ

憧れの日本での就職がトントン拍子で決まったハンさん。社長の意向もあってハンさんを中心に事業はスタートしましたが、新たなビジネスモデルを構築するのは苦労の連続。大学時代に学んだ会計の知識も手伝って、赤字経営は身に染みるものでした。でも、せっかく手に入れた日本での仕事。ましてや母国の、そして故郷の発展につながる仕事となれば簡単にあきらめるわけにはいきません。「ベトナムのカカオ農家を訪れたとき、本物のオーガニック製品を生み出すため、生産者さんたちがプライドを持って厳しいルールの下で仕事をしていた姿を見ました。そのことも、苦労を乗り越えるときの励みになりました」。

来日して間もなく約4年半。「この仕事に就けたことに感謝しています」。目下の目標はOCA JAPANが注目を集め事業として大きく成長すること。今後は東京や大阪にもブランドを広め、やがては世界進出も視野に入れています。会社では数年後に責任者となるべくキャリアを積む一方で、休日には日本語学校で知り合ったベトナム人の友達と食事やおしゃべりを楽しむなど、浜松での生活を満喫しています。

(取材時期:2022年2月)

ドァン ハン

ベトナム社会主義共和国 バリア=ブンタウ省出身。26歳。
来日:2017年10月
趣味:音楽、料理。
自分が今やっていること:3年間カカオ事業で働いている。
自分の強み:色んなことにチャレンジすること。チームワークスキルがある。快活で積極的。
目指すビジョン:OCAとカカオブランドを世界進出させること。

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